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国土調査の成果に誤りがあった場合

 

 

地籍調査という制度をご存知でしょうか。国土調査には水調査等の複数の調査が含まれますが,そのうちの一つが地籍調査です。

 

(1) 地籍調査とは

 

 地籍調査とは,一筆ごとの土地について,その所有者,地番及び地目の調査並びに境界及び地積に関する測量を行い,その結果を地図(地籍図)及び簿冊(地籍簿)に作成する土地の基礎調査のことをいいます。

 

 地籍調査の成果(地籍図・地籍簿)は,法務局に送付され,登記所備え付けの地図や登記簿が書き改められることになります。いわば,地籍調査によって,登記簿が操作されるということです。

 

 

(2) 地籍調査の誤りが生じさせる問題と対処方法

 

 地籍調査は,誤りがないように注意深くなされるのが通常ですが,何らかの理由から地籍調査の成果に誤りがあった場合,例えば,実体法上の所有権の変動が登記に反映されないままになっている土地について,地籍調査が入ってしまって合筆や分筆等がなされ,しかも,そのまま登記所に送られて登記されてしまった場合,後々になって実体法上の所有権を適正に登記に反映するのは困難となる場合があります。

 

 この場合には,まずは実体法上の所有権の変動を明確に把握した上で,地籍調査を行った市町村及び登記所(法務局)との折衝が必要です。

 

 基本的には,当該市町村が地方税法381条7項の規定に準じ,管轄登記所に対して登記の修正の申出をしてもらうことになります(法務省民事局・三訂国土調査登記詳解(平成三年三月民事月報号外,以下「詳解」という。))。

 この場合にも,登記のどこをどのように修正しなければならないのかを把握しておく必要があります。登記の修正後に本来の権利変動が登記できなければ本末転倒となるためです。

 

 なお,表題部に記載された所有者又は所有権の登記名義人等が自ら不登法,不動産登記準則所定の手続により土地の表示の更正の登記申請又は地図訂正の申出等をすることも可能とされていますが(詳解),これはかなり大変な作業が必要となりますので,あまりお勧めできない方法(最後の手段)といえるでしょう。

 

 

(3) 修正後の登記簿の記載がどうなるか

 

 市町村が登記の修正を求めることは,登記官の職権発動を促すに過ぎないため,上記申出書に基づいて登記簿の記載を改めるときの『登記の原因及び日付』欄の記載は,単に「錯誤」等とすれば足り,国土調査の成果の訂正による旨又は地方税法第381条第7項の申出による旨を記載する必要はないとされています。

 

 

(4) 移転登記手続に困る事案

 

 実体法上の権利移転はあるが,移転登記ができないというご相談は少なくありません。

 当事務所では,先例に乏しい案件であっても調査を尽くして最善の解決方法を提示できるよう努めておりますので,通常の方法では移転登記手続が困難とされた事案(例えば司法書士の先生に困難と言われた案件等)についてもご相談ください。